愛と感謝の活人空手という在り方 | terroir.link

オープンマイク

Open-Mic

愛と感謝の活人空手という在り方

-テロワールな生き方へのステップ-

 オープンマイクは『つながる・めぐりあう』をテーマに、ホストとゲストが “セッション”するスペースです。共に響き合う仲間、テロワールな人たちとのトークなどから、さまざまなテロワールのカタチをお届けします。
 フランス語で「土地」を意味するterreから派生した“テロワール”。ワインやコーヒー、お茶などの品種における生育地の環境(地理、地勢、気候など)から生まれる特徴のことを指します。

第三回目オープンマイクは、昨年北海道を訪れてくれた愛と感謝の活人空手家竹内大策くんとの対談インタビューです。

プロフィール

Guest/竹内大策

−1981.9.30生まれ.大阪府豊中市出身広島市在住1994年から空手を始め2006年に広島に移住し、『愛と感謝の活人空手』の指導にあたる。

愛とは、命そのもの。命とは、宇宙の一部としての完成形であると言う摂理から、空手家としての使命を担っている。空手道の教えの実践として災害支援、空き家再生、みんなの家プロジェクトなどを手掛け、暮らし、学び、居場所づくりの活動にも力を注ぐ。

空手道真義館広島支部長IKIMASU.広島 代表
https://note.com/ikimasu

Interviewer/中田雅史 -Nakata Masashi-

 北海道島牧村出身。島牧と銭函にて二拠点暮らし。北海道を拠点に風土を醸してゆくテロワールシンガーソングライター。雄大な自然を想起させる詩の世界観と深く温かな歌声、アコースティックギターで奏でる楽しさと優しさと懐かしさの同居する曲は、聴く人のココロとカラダを不思議と調和していく。各地での様々なスタイルで行うライブ以外にも、講演・音楽プロデュース・銭函フェスの主宰、楽曲提供・配信・TV・ラジオ・youtubeチャンネル「masashihouse」・WEB MEDIA「Terroir.link」・顔の見える暮らしの実践・地域おこしなど、多方面に活躍の場を広げている。
http://nakatamasashi.com
https://village.terroir.link/about

愛と感謝こそが空手の根源

雅史:出会いは昨年の「IKIMASU ROCK JAPAN」という災害チャリティー支援フェスなんですよね。僕の抱いていた空手のイメージを思いっきり変えられてしまいまして。一体、空手とは何なのかという切り口から色々と大策くんに尋ねていけたらいいなと思っています。

大策:私のやっている空手は空手道真義館という流派の空手なんですけど、全てのことに感謝して別け隔てなく愛することこそ強さの根源と教えられています。

空手の実践というのが、正しいことを迷わずにできるかどうかこそで、喧嘩して強いとかそういうことではなくて、人として強くなるということだと思うんですよね。試合でいくら勝っても、野生の動物と対峙すれば勝てるわけでもない。その中で本当の人間の強さは何なのかといえば「お互いを活かし合うことのできる知恵を持っている」とかそういうことだと思うんですよね。その強さの根源は愛と感謝から来ています。

雅史:空手の演舞の中でも思ったけど、愛と感謝を使うとどれだけパワフルかっていうのを目の前で見て涙してしまった。目に見えない世界ってあるものだと思うけど、本当に?って思っている人からしてみたら「あった!あるんだ。これが愛の力だったんだ」ってなるようなものを多分感じてもらえる、それが空手というものの中に表現されているなと感じて、すごく驚きましたね。

日常の中で壁が生じた時にこそ、強さが試されている

大策:人って理性と感性があるんですけど、心で感じて動くっていうのは先に体が反応します。先に鳥肌がたって、「なぜ鳥肌がたったんだろう」って後から考える。まず体先ありきで、空手は「型」というのがあります。命のやり取りの中から生き残っていく術を作ったのが型なんです。そこに命・型をはめることで、命を何より大切にするという知恵を体に教えることが空手の稽古です。

「IKIMASU ROCK JAPAN」の中で披露した愛で倒れている人を起こす稽古がありますが、目の前の人を敬う・愛する・感謝するという心で接したときに重たくてもすっと起こせてしまうんですね。人と敵対した相手にでもその人と調和した上で相手に入っていける、要するにより強い攻撃に対しても、自分の心が変わらずにいれるかということを稽古の中で検証しています。

雅史:自分を知るっていうアプローチとして稽古をする、型があるみたいな。

大策:組手や演舞・試合をするのが本番ではなくて、本当に目の前のあらわれる困難とか壁とか自分がどう在れるのか、愛でいれるのか感謝でいれるのか、人間の持つ本来の素晴らしさのままでいれるのか、そういうときにこそ試されるんです。

損得勘定で動いていたりするといざという時に、ごまかしたり子どもみたいな嘘をついてしまって、自分を守ることに精一杯になってる。それって積み重ねが足りないということなんですね。

雅史:いいね、積み重ねが足りないって空手っぽいよね。武術としての空手のルーツは?

こころとからだの調和、命を守るためにうまれたのがルーツ

大策:もともと「手」の漢字だけで、琉球王国の時代に生まれました。当時現地の言葉で「ティー」という言葉です。歴史から言えば常に3つの国に分かれて戦争していた時代に、一人の王が武器を捨てる道を選びました。その中で「国を守る・家族を守る・自らを守る」ための術で生まれました。

戦い方を上達させるというものでなくて、いかに自分の心を平穏に敵をも愛して衝突を起こさず調和できるかということを、実践できるための体作り・心作りようするに自分自身の体と心の関係性を良くするために、自分の体が自分の心を裏切らない関係性や社会との調和をはかるために生まれました。実際にそれで戦いを免れたり身を守れたりしてきたので、空手の型は僕は命そのものだと思っています。

雅史:自分のイメージとして持っていた空手の戦おうとしている感じとか柔より剛のイメージを持っていたけど、大策くんとの出会いで変えられたというか。

僕の場合、音楽やってるから調和するのが仕事なんで、一緒だなぁと思ったんだよね。

大策:弱いものが置き去りになっていたり、命よりも優先されているものが多い世の中で空手の根源である命、武術の「空手を通じて原点に帰る。愛に帰る」というのが空手家の使命ですね。

雅史:テロワールっていうのは大地と巡っていくというところで、話を聞いていて空手っていうものの源流にもテロワールな部分を感じていて。そこの本質を見失わないように大事にしているところとか、それを暮らしの中で様々な・・歌詞も書いたりするしね。歌も歌ったりするし(笑)

大策:そうね(笑)

暮らしや命を支えてくれている空手を生活の中で実践していくカタチをとりたい

雅史:今後は暮らしの中にもアプローチを見つけていくの?

大策:稽古というのはあくまで自分を見つめる時間を持つこと。実践の場というのは家庭であり、職場であり、社会であると。私の場合だと災害支援活動です。

今後は、修行と暮らしがひとつになった場を作りたいと思っています。例えば子ども達の居場所だったりとか、学校教育の中にいれなくなった子とか、施設に入ってしまった子とか、色々いると思います。暮らしの中で、そういった子ども達が真のルールを学べる場を、色々なジャンルの人達と協力してコミュニティを作っていきたいなと思っています。

やっぱり修行する上で時間に追われない瞬間っていうのが大切だと思うんですけど、それは自然の力というかもともとある人工物より自然の力が大きくて。

まだ計画段階ですけど、地方の空き家になっている場所を生かして。今持て余されている古い家がたくさんある。大きな道場を都心の中で立てるのではなく、そこの暮らしの中で、修行していく場所作り。いろいろなコミュニティがあり、ひとつの村のように。大きく言えば血の繋がりを超えた大きな家族。そういう気持ちをお互いに芽生えさせるような活動をしていこうと思っています。

空手が表にでるものではなく、命や生活を支えてくれるものとしてどう生きるかだと思います。それから自分の得意なこととか特徴を稽古することで自分を知って、苦手なことはお願いしますと言って頼み、できることはお役に立ちますと生かしていきたいですね。

空手と音楽の共鳴力

空手家としての竹内大策と音楽家中田雅史の共通点は、その枠を超えて暮らしそのものを通して表現しようとする在り方。
愛と感謝を体現し、広島と北海道で違う分野で同じような想いをともにする同志として、今後とも刺激しあって手をとりあっていこうと誓うのでした。暮らしに愛と感謝を!!!!